欠け

 感情が爆発して良くない形で一方的にぶつけてしまった。

 

 謝る電話をした時、友人は何一つ怒りはしなかった。それどころか私のこの欠点について「そのままでいいと思う」とさえ言う。ものすごく普通のトーンで「○○(私)の中で何かが弾けたんだろうなぁと思った」と。ただそれだけの事、って感じだった。もっと責めたり、冷たくしてよ。何でそんなに優しいのさ。

 

 いつからだろう。少しでも怒ったり失敗したら相手との関係性は終わってしまう。そんな考えが無意識に染み付いている。

 

 まさかその子が私との関係をそんなに長い目で見てくれると思ってもみなかった。涙が出た。おしまいだと思っていた関係は、壊れることなく平らな場所に着地した。

 

 人は私が思うよりずっと寛容で、失敗したりどんなにダメな部分があっても、そういう面も含めて付き合ってくれる人も居るのだ。なぜそれを信じて、安心して付き合えないのだろう。

 

 完全に私の独り相撲だった。ああ、恥ずかしい。いい年していつまでも子供のよう。なぜいつもこんなに拗ねているんだろう。なぜ大切にされてることが分からないのだろう。

 

 別の友人に、ことの顛末を話した。どんな自分も受け入れてあっけらかんと楽しく逞しく生きる彼女。私の狭い視野で見えなかったことに気づかせてくれる。

 

「他人の失敗は許せるのに、なぜ自分は許せないの?」「弱みを見せたら失望されると思ってるんじゃない?」

 

 ああ、そうかも。そうかもなあ。人を信じられないのは、きっと自分の欠点を受け入れられないから。

 

 自分の欠けた部分を悪だと思ってるのは、他でもない自分。欠けていたら愛されないと。それを隠そうとしたり埋めようとして、ストレスを溜め込んで、結局は爆発してる。何やってんだろ。まだかっこつけてる。

 

 欠けたまんまで、本当は大丈夫なんだよ。お月さまだって、まんまるじゃない時も愛されてるじゃないか。満ち欠けするその姿を、ただ見守ってくれる人はきっといる。