得意料理は

今年は住んでる地域の組長をやっている。

 

後期の区費をさっさと集金したいのだが、一軒なかなか回収できないお宅がある。

 

事前に集金日時と金額を書面で知らせたが、当日不在。

翌日訪ねると「体調が悪いので明日か明後日持っていきます。」

それは仕方ないと待ったが、一週間経っても来なかった。

今日また伺うと「お金をおろし忘れて。いくらでしたっけ?」

 

話していて全く悪い感じがしない人だが、ちょっとルーズなのだろう。

毎月市報を配るが、その家のポストはいつも郵便物が溜まっている。

 

自分がやるべきことをやっていても、前に進まない時はあるものだ。

別に期日に間に合えばいいのだが、何だかとても気疲れしてしまう。

 

私には癖がある。

子供の頃に身につけてしまった、自分を守ろうとする心の癖。

 

先の見通しがつかなかったり、こちらの話が全く伝わっていなかったり、

相手の意図が分からないと凄く不安になる。

だから用意周到になったり、他人に圧をかけてしまいがちである。

嫌なことが起こるんじゃないかと怖くなるのだ。

まだ何も起こっていないのに。何かが起こっているのは自分の頭の中だけなのに。

 

不安があるからコントロールしようとする。

けど、コントロールしようとする心は不安を生む。

なぜなら予想通りにはいかないし

状況や他人を都合よく操作するなんて、実際には出来ないことだからだ。

 

不安とコントロールはどっちが先か。どっちが卵でどっちが鶏か。

この二つは相性がいい。中毒性のある親子丼が出来る。私の得意料理だ。

味付けは妄想とネガティブ思考。焦りがあればより旨みが増す。

 

どっちが先にせよ、幸せになるためにこの毒は抜かなくてはいけない。

 

ずっとしがみついているものから離れるのは、とても怖いことだ。

しかも、かつて私を守ってくれていたのだから。

でもそこから離れて初めて安心に辿りつくのだろうね。

 

どうやったら手放せるのかまだ分からないけど

そろそろ違うレシピを覚えて、新しい料理を味わいたいなと思っている。

 

(実際の親子丼に罪はありません。おいしくお召し上がりください。)