煙を吸いたい。
時々そう思っている自分に気づいた。
煙草を吸う訳じゃない。お香を焚くのだ。
お香に火をつけて一息つくと、不思議と呼吸が楽になる。
何せ呼吸が浅くて、深呼吸をしても上手く出来ない。
でも香りがあると不思議とすーっと呼吸が入る。
体が欲することは大体正しくて、本当に感心してしまう。
お香に限らず好きな香りを嗅ぐと、息が深くなる気がする。
コーヒーやお茶の匂い。台所に漂うおいしそうな匂い。
散歩中にふと香る花の匂い。好きな人の肌の匂い。
旅行から帰った時は、自分の家の空気にほっとしたりする。
酸素と香りと何か心地よいものが肺を満たす。
優しく胸を広げて余白を作ってくれる感覚。
香りは記憶と深く結びついているという。
慣れ親しんだ匂いを嗅ぐと、安心して体が緩むのだろう。
そして温度も。匂いと温度が合わさると、より安心感が増すように思う。
呼吸のことで近ごろ気づいたことが、もう一つある。
運動している時は自然と呼吸が楽になる。
有酸素でも無酸素でも。ほんの少しの運動でも。
近ごろは息をするために運動しているような節がある。
普段どれだけ呼吸が浅いのよって、自分で突っ込みたくなるけど。
安心と、リラックスと、体を動かすこと。
自分の日常は、呼吸を深くする要素が不足していると気づいた。
「呼吸が大事」
昔お世話になったヨガの先生が、いつもいつも言っていた言葉。
当時はよく分からなかった。でも今は少し分かる。
呼吸は心身の状態にとても影響しているし、
心身の状態は呼吸にとても影響している。
何となく辞書を見ていたら、息には呼吸以外に
「生きる」って意味も「休む」って意味もある。
呼吸は私が思ってた以上に奥深いものがありそう。
幸せに生きることが呼吸を深くする。この頃はそんな風に思っている。