立春大吉

 日曜日の昼間から横になり、うつらうつらしている。いつもはうるさく感じる洗濯機や乾燥機の規則的な音が、不思議と心地いい。

 発熱。何年ぶりだろう。朝病院で検査したらコロナもインフルも陰性。36.7だった体温は38.3まで順調に上がっている。体の痛みも久しぶりだ。

 立春。そんなタイミングで風邪を引くなんて。幸先がいいかもしれない。変な話、ずっと風邪を引きたかったのだ。

 野口晴哉先生の著書「風邪の効用」を読み、風邪という体の反応は悪いものではないと知った。寧ろ全く熱を出さないような人が急に大病を患ったりするような事を書いてある。もう何年も熱を出していない私は、体が鈍っているのだろうかと不安になっていた。

 そんな訳で立春大吉。めでたいのだ。春が来たことも、一生懸命体が生きようとしていることも。

 明るいうちから布団に包まりゴロゴロしている。眠ってしまわないように意識は保ちながら、ぼんやりとすごす。

 一人だから不安になるかと思いきや、ふかふかのお布団のお陰か、何かに守られてるような気分だ。思考から離れ、ただ体を今に預けるというのは何て心地がいいんだろう。

 数日間は安心という繭の中でただただ休んでいよう。