花の写真

 久しぶりの風邪は思いの外しんどかった。悪寒・発熱・体の痛み・喉の痛み・痰・鼻水…と、おなじみの症状ばかりだったが、今回は喉の痛みに苦しんだ。

 3日目までは経過がよかったが、全体的に症状が落ち着いてきた4日目ごろから、喉の痛みだけ酷くなった。ただでさえ嚥下が辛かったのに、一々意を決してからでないと飲み込めない。喉が焼け野原のように痛むのだ。大げさかもしれないが、とにかく喉が痛くて、ピークの夜はろくに眠れなかった。「助けて神様…」とカスカスの声で何度か呟いた。だが、咳をしても一人。

 寒気を感じた日から今日で5日目。もっと早く治ると思ってたのに、微熱と喉の痛みがまだ治まらない。

 ” 長引く風邪は君のせいだ 指名手配 ”

 とある歌を思い出し、枯れた声で口ずさんだ。そのフレーズだけやたらと耳に残っている。懐かしくて久々に聴いてみたら、ちょっと切ない恋の歌だった。

 立春を過ぎたせいか、気のせいなのか、窓から入る光が明るく感じる。季節は次の段階へ着々と準備を進めているし、きっと私の体もそうだろう。もう少し辛抱してゆっくり待つしかない。

 ティッシュの箱の花柄を見て、スマホの待ち受けをチューリップの写真に変更した。

 早く外に出て、春の光を浴びたいな。