開けごま

 プラスとプラスがカチッと嵌り、そして世界は回りだす。

 

 玄関の鍵がかかりにくい。2年前に入居した当時からスムーズではなかった。施錠にちょっとしたコツが要る。扉を一定の方向にぐっと押しながら鍵を回すのだ。一応、鍵はかかるし何となくそのまま暮らしていたが、この小さな不便が意外とストレスだった。昭和に建てられた古い木造の家だ。年季が入っているし全体的に建付けが悪く、縁側の網戸も開け閉めしづらい。きっとこうした引っ掛かりが生活も心もガタガタさせてしまうんだろうな。

 

 そんな訳で今日は玄関と網戸の調整に奔走していた。DIYなんてしたことないけど不便な家に一人で住んでいると新しいことを覚えざるを得ない。正直面倒ではあるが、出来ることが増えるとその分少し逞しく自由になれる気がする。

 

 戸車のネジを回す。高くしたい方は時計回りに。低くしたいときは反対に。うん、大分マシになった。でも玄関も網戸も戸車自体を交換した方がよさそうだ。明日またホームセンターに行くか。まだ完全ではないけどゴールが見えつつある。

 

 扉が気持ちよく滑るだけで、人生の流れがよくなりそうな気がするから我ながら単純だ。でもこうした些細な事の積み重ねが生活を変えて行くんだろうな。私の人生もスムーズに動いてほしい。そんな願いも込めながら、少しずつ少しずつ家を整えている。